裏フィクションを見てから大河か、大河を見てから裏フィクションか、あなた次第(^ -)---☆Wink
1588年4月20日・・・黒田家の誘いに応じて中津に着いた城井鎮房(きのい しげふさ)は、家臣を合元寺に置いて、わずかな供回りで中津城へと向かった。
中津城は当時まだ未完成だったので、城下は城普請の活気に溢れていたことだろう。
待機を命じられた家臣たちは供を申し出たが、既に覚悟していた城井鎮房は断ったのだった。
黒田官兵衛の嫡男・吉兵衛長政の元へ側室として(実態は人質)上がった娘・鶴姫に会わせようと言う触れこみだったが、
広間に通されると案の定、鶴姫はおらず、潜んでいた黒田兵に取り囲まれて襲撃を受けた。
城井は実は怪力・豪傑として有名を馳せており、さしもの黒田兵も中々仕留めることが出来ず手こずった。
鎮房は文字通り黒田兵を千切っては投げ~という感じで奮戦したのだが、
供の家臣が一人・また一人と討たれ、多数で取り囲んでの攻撃に、流石に体力の限界が近づいてきた。
息切れがしてきたところを見計らい、黒田吉兵衛長政が名刀・兼光で斬りかかり、城井の体勢が崩れたところを、後藤又兵衛基次が槍で仕留めた。
城井家の当主、城井鎮房・・・黒田家に騙し討ちにあい殺される・・・享年53歳
主君の帰りを待っていた城井家臣にも、黒田兵が差し向けされて、たちまち合元寺の境内は闘争の場となった。
必死の抵抗を試みた城井家臣だったが、完全武装の黒田兵に次々と討たれ、全員殺されたのだ。
合元寺の壁には、城井兵の返り血がベッタリとこびり付いた。
不思議なことに、その血はふき取り壁を何度塗り直しても浮かび上がって消えなかったのだと言う。
寺では仕方なく壁一面を真っ赤に塗ったそうだ。
現存する合元寺の壁は今でも真っ赤・・・赤すぎて怖いので画像貼るの止めました^^;;
実は合元寺で城井家臣が待機してたのは元々の縁故があったからです。
住職が城井鎮房の息子だったの・・・( ̄ko ̄)
だから「超真っ赤な壁」にしたのは、住職であった城井鎮房次男の黒田に対する「ささやかな抗議」だったのかもです。
人質兼側室だった城井鎮房の娘・鶴姫も捉えられ、広津河原で侍女とともに磔にされて殺された。(享年13歳or16歳)
*********史実への道********************
★裏フィクションでは側室って扱いにした鶴姫ですが、城井サイドの伝承だと正室として嫁ぐ事になってるんです。
既に正室(糸姫)も一女もいる長政相手だと、完全に結婚詐欺~てか城井が騙されるとは思えない,;.:゙:..:;゙:.:: (゚∀゚ゞ)ブハッ!
伝承の設定に無理があるんで無難に側室ってことにしました^^;
*********史実への道・2********************
鶴姫の最期は豊前における伝承でして黒田側の記録と違います。
自分は内容未確認ですが、黒田家譜によると鶴姫は城井谷に戻ると尼となって一族の菩提を弔い生涯を終えたことになってます。
城井一族の悲劇に関しては、御家再興運動の一環で江戸期に盛んに宣伝活動をしてたらしい。
講談本で書かれていくうちに話が盛られていったようで伝承も数パターン有りなんですが、自分の方でチョイスMIXして臨場感出してます。(←だからフィクション小説なの)
城井姓を宇都宮姓と書いているのも江戸期講談本(=現代における時代小説)です。
近年では鶴姫の最期は黒田家側の記述が妥当でないかという見方も出ているそうです。
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(今回はダーク役な黒田官兵衛)
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同年4月24日・・・肥後の一揆・残党狩りのために従軍していた城井の嫡男・朝房(ともふさ)にも悲劇が待っていた。
家臣壱「若殿!煙が・・・火事です!」
朝房「なに?火元はどこじゃ?すぐに消火にあたるのだ!」
家臣弐「それが火元は宿坊の中ではございません!煙は外から入って来ます!」
朝房「?どういうことだ?外が火事なのか?誰ぞ、様子を見て参れ」
家臣弐「若殿!出入り口が全て外から閂(かんぬき)が掛かっております!外へ出られません!!」
朝房「???いったいどうしたことじゃ」
その間にも煙は宿坊の中に入ってくる。
「ゲホ・ゴホ」息苦しくなってきた朝房と家臣たちは、煙を避けて台所の土間へと集まった。
家臣の一人が煙で涙が止まらないを堪えて、格子を開けて外を覗き見た。
家臣参「若殿!宿坊の周囲には兵がビッシリと取り囲んでおります。これは何者かの襲撃です!」
朝房「夜陰に忍んで火を掛けるとは、肥後の一揆衆の残党の仕業か?」
家臣弐「火は隣の加藤主計頭(かずえのかみ=清正のこと)も気づいているはず、おっつけ助けが参りましょう!」
家臣参「若殿!これは一揆衆ではありません!旗指物はありませんが騎馬武者の甲冑に見覚えが・・・吾らを取り囲んでいるのは黒田家の兵です!!」
朝房「~~~~~~~~さては黒田ぁぁぁ!謀りおったなぁ~~!!」
朝房は土間を駆け降り格子を開けた。煙が格子の合間から、どっと入ってくる。
煙を吸い込まぬように夜着の袖で鼻と口を防ぎながら、外へと向かい叫んだ。
朝房「(# ゚Д゚)・;'.和議を結ぶとウソをつき、武士にあるまじき卑怯な騙し討ち!これが黒田の陣法か!」
黒田家の兵士たちは無言のままだった。運良く抜け出す城井兵がいたら撃とうと鉄砲を構えている。
そのころ加藤家の宿坊でも、隣の宿坊から火の手があがり騒ぎになっていた。
加藤家臣「殿!城井の宿坊が火事です!こちらに類焼する危険もありますゆえ、鎮火の加勢に参りましょう!」
主計頭清正「捨て置け!こちらに火の粉が飛ばぬようにだけ注意するのだ」
加藤家臣「は?」
主計頭清正「我らは何も見なかった、聞かなかった、城井の宿坊は我らの加勢の甲斐無く焼け落ちるのだ・・・よいな!」
加藤家臣「・・・畏まりましたm(_ _)m」
清正の家臣も何事か起きているのを察し、主の言葉に従った。
(これが官兵衛殿よりの依頼なのだ・・・致し方ない・・・( ̄^ ̄;))
清正は苦い薬を嚥下するような、込み上げてくる複雑な心中にフタをするのに、一晩苦悩する羽目になった。
「ゴォォォ・・・バキバキ・・・」火が炎となって建物を駆け巡る音とともに、宿坊の何処かが崩れた轟音がした。
朝房「・・・・もはや、これまで・・煙に巻かれて見苦しい死に様を晒すくらいなら腹を切る!」
「皆の者!これが今生の別れじゃ、この上は共々に魂魄となって城井谷へ帰ろうぞ!」
城井家臣「応!!」「若殿!御供仕る!」
朝房は家臣たちの返事に「うむ」と答えると、短刀でもって一気に腹を一文字に切った。
(父上・・母上・・・無念でござる・・・竜子、そなたの元へ帰ることは叶わなんだ・・・無事に腹の子を産んでくれ・・・!!)
やがて劫火が宿坊を押し包み、轟音とともに建物が崩れ落ちた。
夜が明けて、怖いもの見たさで現場を見に行った加藤主計頭清正は、余りの凄惨さに息を呑んだ。
人肉の焼けた時に発する独特の臭気が充満し、息をするもの気持ちが悪い。
直接に手を下してないとはいえ、黒田の片棒を担ぎ、事態を傍観して朝房を見殺しにしたことに変わりは無い。
後難の祟りを恐れた加藤主計頭は朝房を祀り、その御霊を鎮めるための神社を建立したのだった。
(※現存:宇都宮神社、正確に言うと再建です)
城井一族と城井の分家・野仲家が、黒田家によって滅亡したことを知り、豊前・中津の国人たちは全ての抵抗を諦め、黒田の軍門に従った。
城井谷の領民は「良き殿様」だった城井家を懐かしみ、黒田家に心から懐くことは無かった。
それもそのはず・・・新領主が黒田家になってから税率が、倍増したから。
これは黒田家が意地悪や見せしめに城井から搾取するために重税になったのではなく、豊前黒田領全体の話です。
1・太閤検地により土地の計測方法が変化して税率が増えた
2・秀吉の築城趣味(聚楽第・伏見・大坂etc~)と、遊び(北野大茶会や醍醐の花見など)のため相応の諸役に応じるため税率増えた
3・朝鮮の役の出兵のために・・以下略
4・豊臣政権は首都・大坂、政都・伏見のため大名屋敷が二ついるため維持管理のため(涙目の以下略
但し正確な増税比率などは、自分が知識不足なんで判らなかった^^;
ですが太閤検地そのものが、無税だった隠し田などを正確に把握する意図もあるので、程度の差はあれど必然的に税率は上がります。
絢爛豪華な桃山文化の主役・豊臣政権のために各大名の財政は破綻寸前で、民力を休ませるなど到底出来ません。
黒田家も、自分たちの本城・中津城の築城さえ半ばでストップしたままだったほどなんです。
だから黒田官兵衛はケチで倹約して、貯め込んだ金で「大名貸し(つまり大名相手の金融業)」して財テクに励んだのです。
・・・え?・・・貯めた金で中津城を完成できなかったの?・・ですか?
いかにビンボのドン底であっても「いざ出陣!」のための軍資金に手を付けないのは武家の心得です!(`・ω・´)キリッ
でも城井谷の領民には黒田家の台所事情なんて解りませんし、黒田家にとっても財政状態は社外秘です。
城井谷の母親たちが、幼子に聞かせる御伽話のなかで「良い殿様」とは城井家のことを指すし、
近代まで酒席や祝い事で、黒田武士の心意気を唄った「黒田節」を唄うことは無かったそうです。
鎌倉から数百年続いた城井家の嫡流は滅亡しました・・・・
あ、いえ一筋の光明が残っています。
英彦山に逃れて密かに出産した朝房の妻・竜子が、見事に男子を出産したのです!それは・またの話 by^-^sio