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Channel: 九州戦国ブログ~室町末期から江戸初期まで~
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【考察完・海から見た肥前須古城】西肥前強化月間・リサーチ3武家目

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ちょっと「地図から見た少弐と龍造寺」の記述と被ってる部分があるんですが、
佐嘉郡も杵島郡も同じ有明海に面した土地だから、地盤の脆弱さを除けば土地の条件は大体同じ。
だから龍造寺が勢力を広げた経緯から「肥前須古城の役割」が類推できます。

1530年、鍋島家の赤熊武者が活躍した田手畷の戦い。
この前後に飯盛城の肥前石井氏が剛忠(家兼)配下になる決断を一族として出します。
喜んだ剛忠(家兼)は、一族を説得した石井5男に自分の「兼」の字を偏諱して兼清という諱を与えました。
剛忠(家兼)が心中、小躍りしたのも無理はありません。

飯盛城は、肥前須古城と同じ「佐嘉郡における、起点に位置する城」だからです


戦国時代の飯盛城は海岸から400m弱くらいの位置にあって、土地干拓造成前は飯盛城のある地域が与賀と呼ばれてました。
で、飯盛城が起点と自分が判断した理由は、今津(1km北西)相応津(1km南西)と二つの河口港の真ん中あたりに飯盛城が位置してるからです。
(ちなみに干拓された現代では河口の面影ゼロです^^;)

これは石井氏が意図して築城したのではなく、もとから石井氏がいた近所に少弐政資が河口港を開いたの^^b
飯盛城・石井氏の起点としての重要さに気付いていた剛忠(家兼)は、石井氏に佐嘉郡の海岸線警固を命じました。

肥前須古城も同じです。河川流域の起点である城は、海岸線警固も担います。
逆に肥前須古城が海岸警固してないなら、肥前須古城以外に海岸近くに城があるはずだけど、須古城以外は見当たりません。


有明海・・・つまり湾としては最深部に位置する杵島郡は、有明海における満干潮の数値はMAXです。
だから満潮と干潮を上手く利用すれば、風まかせの船の航海より速く移動できます。
でも有明海全体が基本として浅瀬だから陸に近づきすぎると座礁するし、満干潮が激しさから来る有明海の海流の速さは、日本近海でもトップクラスで、それは瀬戸内海の海流速度に匹敵します。

だから杵島郡から玄界灘・・・というより島原湾に至るまで、満干潮&湾内海流を上手く利用したジモティ水夫しか知らない有馬サイドの航海ルートがあったはずです。
龍造寺隆信は、河川流域の起点としての立地条件や海岸線警固からくる地元情報込みで、肥前須古城を攻略したかったんじゃないでしょうか。

佐嘉郡・神埼郡と河川流域に向かって勢力を伸ばしてきた龍造寺家。
これに六角川流域と杵島郡の海岸線がプラスされれば、次に起点となるのは廻里江川&塩田川流域・・・藤津郡(現・鹿島市)に至ります。
佐嘉郡から杵島郡(つまり肥前須古城)を中継地として、藤津郡を制すれば有明の制海権は完全に龍造寺のもの。
有馬の本拠地・島原は目の前です。

従って、佐嘉郡へも鹿島側へも、どっちでも航海コースを選べる中心である肥前須古が、制海権における最重要起点の軍事的要地です



河川が縦横に走る肥前では、河川流通船便にライフラインを頼らざるを得ません。
だから勢力ある国人であれば、物資輸送のための自前の船を持つのは、現代人がマイカーを持つような感覚だったでしょう。
少弐の陰謀やクーデターで亡命する時も、龍造寺は庭先を移動するみたいに船で移動してます。
肥前へ戻る時も、やっぱり船でして、船そのものを調達するのに苦労したって話は聞いたことがありません。
なんていうか、普通にあるのが当たり前だった環境じゃないでしょうか。

龍造寺の勢力拡大の推移を鑑みると自前の水軍があったんじゃないかな~~~と思うんですが、
文献として「これだ!」ってものは、今の所見つかってませんので、推測の域を出ていません。

ブログ友様は鹿島が龍造寺水軍の拠点じゃないかと推測されてました。
自分は鹿島だけでなく、佐嘉郡・杵島郡にも、それぞれ拠点があったと思います。

佐嘉郡は石井氏が警固する河口港・今津と相応津。
杵島郡は晩年の龍造寺隆信が隠居してた肥前須古城。
そして鹿島。

この3つが龍造寺水軍(もしくは軍事用でなく輸送用船の)拠点。
沖田畷の決戦前、島原を目指すにあたっては、他2つの拠点から鹿島を目指して集結したと思います。





「海から見た肥前須古城」いかがでしたでしょうか?
正直、知識不足ですので、軍事や地理の専門家から見れば穴だらけの推論かと思います。
ただハッキリしてるのは、戦国時代の有明海の海岸線が頭に入ってなければ、
龍造寺勢力拡大の方向性や龍造寺隆信が肥前須古城に拘った理由は見えてこないと言う事です。

西肥前強化月間は、まだ続きますので、今後も精進したいと思います^-^
さて次はどこかな~それは・またの話 by^-^sio

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